Windows XP Professional のスタンドアロン環境 (ドメイン環境でないシステム) で暗号化ファイルシステム (EFS: Encrypting File System) を使う場合の注意点


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エクスポートした秘密鍵のバックアップを作成することの重要性

多くの人は、「自分のパスワードを忘れさえしなければ、自分の暗号化したものは必ず復元できる」と思っているフシがある。しかし EFS に関してはこれは正しくない。秘密鍵ファイルが失われた場合、たとえパスワードを完全に覚えていたところで、暗号化ファイルは永久に失われたも同然である。多くのバックアップソフトで、暗号化ファイルは暗号化属性を維持したままでバックアップできる。だが秘密鍵を失えば、これらのバックアップもすべてが水泡に帰す。

Windows が何らかの理由で破損し、起動不能となって再インストールを余儀なくされることはままあることである。そのときに、エクスポートした秘密鍵ファイルが紛失・破損していたら、大惨事である。自分の作成したデータのファイルをバックアップすることの重要性は、広く認識されている。データが一カ所だけに存在するという状態は危険であり、複数の場所にコピーを保持することがデータの保全にとって死活的に重要であることは、よく知られている。ところが、データのバックアップに関心のある人でも、エクスポートした秘密鍵ファイルのバックアップを取ることは失念している場合が多い。

エクスポートした秘密鍵ファイルが一カ所にしかないということは、暗号化データが一カ所にしかないということと等価なのである。これはきわめて危険であり、エクスポートした秘密鍵ファイルは必ずコピーを作って別の場所にも保管しなければならない。できれば二カ所以上の、できるだけ離れた場所に、できるだけ異なった手段で保存することが望ましい(必ず記録媒体の種類を変えること。同種のメディアに保存していると、記録内容が同時に消失することがある)。しかも他人の手に渡らないように堅固で安全な場所を選ぶ必要がある。

暗号化したデータを保全するためには、秘密鍵ファイルにもバックアップが必要だということを忘れてはいけない。



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